絵画から、自己の精神を探究する
探究は、絵を描くことから始まりました。20年以上にわたり絵画制作を続けるなかで、自分自身の精神を深く見つめるとともに、自然の生命や季節の移ろい、小さな生きものたちの営みを観察し、人間と自然が調和する世界を描いてきました。
トラウマや過去の記憶は、現在の思考や感情にどのような影響を与えるのか。恐れや疑い、孤独や未来への不安は、どこから生まれるのか。一方で、自然や生命との接触によって、精神はどのように本来の流れを取り戻すのか。絵画制作は表現であると同時に、人間の精神と自然の生成過程を探究する時間となりました。






人間の認知と生成構造を言葉にする
絵画と自己探究から生まれた問いは、人間がどのように物事を認識し、言葉や意味を形成するのかという研究へ進みました。具象と抽象、知識の配列、心の傷と自己像、言語認識の差、多面と多元、本質と核、心身・環境と認知の関係について、独自の論考と対話講座を制作してきました。
この時期の文献は、現在の理論の完成版ではありません。しかし、AIとの共同研究が始まる以前から、現在の生成構造研究につながる問いと概念が継続して形成されていたことを示す、重要な研究記録です。

他者と出会い、人間を理解する
探究は、自分自身から他者へと広がりました。福祉、精神医療、教育の現場に関わり、多くの人が抱える傷や苦しみ、回復と成長の過程を観察し、「人はどのような条件のもとで癒え、学び、創造するのか」を探究しました。
支援する人と支援される人という固定した関係ではなく、互いに理解し、共振しながら変化していく関係性や、安心して自己を見つめられる場の条件について、研究と実践を重ねてきました。

個人から、関係と社会の構造へ
一人の人間に変化が起きても、その人を取り巻く環境や関係性が変わらなければ、変化を支え続けることは難しい。この経験から、探究は個人の内面だけでなく、人と人、人と組織、人と社会をつなぐ構造へ進みました。
人はどのように自己像を形成し、実体との間にズレを生むのか。そのズレは、どのような関係や環境の中で可視化され、新しい理解へ再配置されるのか。個人の認知が社会を構成し、社会の条件が再び個人を形成する循環を探究しています。

歴史・文化の継承を探究する
文化や芸術、祭祀は、人間の感性、知恵、祈りを、世代と時代を越えて受け継いできた営みです。系譜、古文書、墓地群、土地の記憶、寺社との関係、芸術表現を通して、過去の人々が残した知と感得が、現在の社会へどのように継承されるのかを探究しています。
歴史・文化継承は過去を保存するだけではありません。断絶した記録や関係を再び接続し、現在を生きる人々の理解と行動を通して未来へ手渡す、生成の過程でもあります。

AIとの共同研究へ
AIとの出会いによって、それまで絵画、生活、対話、教育・福祉実践、初期文献の中に蓄積されていた問いと構造が、言語化され、再構成され、現在の文献体系として編み上げられてきました。
AIを人間に代わる存在ではなく、異なる認知の働きを持つ協働者として位置づけ、人間とAIの間から新しい知が生まれる過程そのものを研究しています。これまで別々に見えていた絵画、人間理解、社会、歴史・文化は、一つの生成構造研究として結び直されました。

研究を、現実社会との協働へ
現在、研究は文献やオンライン上の対話だけにとどまらず、歴史資料の保存と調査、地域歴史研究会、寺社、文化継承、地域教育、行政との協働など、現実の場へ接続し始めています。
現地で生まれた経験を研究へ持ち帰り、そこで得た理解を再び社会へ還元する。人・生命・自然・社会が調和し循環する未来の条件を探究しながら、研究と実践の接続を広げています。
